わんちゃんの催吐処置

はじめまして。ミモザ犬猫クリニック院長です。
ここでは当院で行われた治療記録の一部をご紹介いたします。
今回ご紹介するのは、ガーゼを誤食してしまった4歳のトイプードルちゃんです。

こちらのわんちゃんは、ご家族の体に巻いていたガーゼ(5x10cm程度)を誤食したことでご来院されました。
わんちゃんは様々なものを誤食することがありますが、ご家族の匂いがついたものも好んで口にするので注意が必要です。
誤食した異物は消化できずに胃腸で引っかかり、腸閉塞という危険な状態に陥ることがあります。
来院時点で1時間は経過しておらず、嘔吐の過程で食道などを傷つける可能性は低いため、「催吐処置」による異物の回収が期待できます。
すぐに吐かせて回収する必要があることなどをご説明し、催吐処置を開始しました。
今回は「アポカイン」というお薬を筋肉内注射する処置を行いました。
処置の結果、注射から3分ほどで複数回の嘔吐が始まり、2回目の嘔吐で目的のガーゼを吐いてくれました。

筋肉内注射、ちょっと痛いけどよく頑張ったね!
嘔吐も辛かったけどよく耐えてくれました!

-催吐処置に関して-
わんちゃん・ねこちゃんの誤食は、昔から現在に至るまで飼い主様と獣医師にとっても悩ましい問題です。
獣医療が発展して良い薬剤が普及している現在ですが、誤食はご家族全員での対策が必要不可欠です。
数年前までは、トラネキサム酸の静脈注射による催吐が主流でしたが、わんちゃんの体型次第では血管確保に時間がかかったり、血栓症などの副作用がごく稀ながら起こり得ます。
アポカイン(アポモルヒネ)導入により、さらに速やかで安全性の高い催吐処置を実施できるようになりました。
当院は、日々更新される獣医学情報をキャッチアップし、わんちゃんねこちゃんにより良い医療を提供できるよう努めております。