わんちゃんの口に釣り針が!散歩中の誤食にご注意ください!

ミモザ犬猫クリニック院長です。
今回ご紹介するのは、釣り針が口に刺さった11か月の柴犬ちゃんです。
こちらのわんちゃんは、散歩中に道に落ちていた釣り針を口にして刺さってしまい、当院にご来院されました。

釣り針は「返し」がついているので、無理に引っ張ても抜けませんし、わんちゃんも怖がって抜かせてくれません。
こちらのわんちゃんも、飼い主様が除去を試みましたが、噛まれてしまいました。
釣り針を飲み込んでおらず、内臓や口腔粘膜ではなく、口唇部に刺さっていたことが不幸中の幸いです。

すぐに除去が必要ですが、動かない状態にして行う必要があります。
鎮静や麻酔は動物を不動化するだけでなく、処置の際の恐怖や苦痛を与えないためにも大切な処置です。
今回は鎮静剤の投与で十分に不動化できたため、局所麻酔薬を注射して処置を開始します。
一見小さな針ですが、針の「返し」は手ごわいです。
単純に針を引き戻す方法では抜けないため、針の途中で切断して、刺さった方向へと進めるようにして抜きました。

野外に落ちていた釣り針ですので、汚染された傷口が化膿しないよう、表面の消毒に加えて抗生剤の内服薬を飲んでもらいました。
処置後は拮抗薬で鎮静から覚まし、意識もしっかり戻り、元気に帰っていきました。

今回のような「釣り針誤飲」は一見すると特殊なケースのように感じられるかもしれません。
しかし、わんちゃんは人が想像もしないものを口にしてしまうことがあります。

・落ちていた串や爪楊枝
・タバコの吸い殻
・毒物やアレルギーを引き起こす可能性のある物質 など

「一瞬のにおい嗅ぎ」「拾い食いの早さ」は、飼い主さんの予想をはるかに超えるスピードです。
特に、リードが長く緩んでいる状態や、自由に歩かせているときに事故は起こりやすくなります。

わんちゃんにとって散歩は楽しい時間ですが、安全のためには“自由にさせすぎないこと”も大切な愛情です。
なにかに鼻を向けた瞬間や、地面を見つめた瞬間など、少しでも気になる動きがあれば、すぐにリードで制御できる距離感を保ってあげてください。