ミモザ犬猫クリニック院長です。
今回ご紹介するのは、健康診断で心臓病が見つかった3歳のラガマフィンちゃんです。
こちらの猫ちゃんは、健康診断を希望されて当院を受診しました。
今回は、一番基本的なコースである身体検査、血液検査、尿検査だけを行う予定でした。
身体検査では心臓・肺・腹部の聴診や全身各部位の触診・視診などを行います。
触診・視診には異常所見がなく、一般状態・ボディコンディションスコアなども良好でした。
一見して健康な猫ちゃんです。
しかし、心臓の聴診をしたところ、心雑音が聴こえました。
ねこちゃんは健康体でも心雑音が聴こえる場合がありますが、無害なものかどうかはエコー検査などをしないと判別できません。
また、心音の聴診だけでは心臓病の種類や進行度を正確に把握することは難しいです。
急遽、心臓のエコー検査を追加で実施し、血液検査の項目に心臓バイオマーカーを追加しました。
検査の結果は、肥大型心筋症が強く疑われる結果となりました。

エコー検査:基準値を超える心筋の厚み、大動脈の血流パターンの異常と流出路狭窄
心臓バイオマーカー:基準値オーバー(心筋が傷ついた所見あり)
検査結果より、閉塞性肥大型心筋症のステージB1として治療・経過観察をすることになりました。
ねこちゃんの心筋症は、進行すると突然死を含む様々な合併症を発症する危険な疾患であるにもかかわらず、無症状のことも多い疾患です。
無症状のうちに発見し、治療を始めるためには定期的な健康診断が非常に重要です。
今回のケースは、オーナー様が「元気だから大丈夫」と思わず、健康診断を受けさせるという心がけが心臓病を早期に発見するきっかけとなりました。もし健康診断を受けていなければ、この段階で病気に気づくことは難しかったかもしれません。
健康診断を受けてよかったと思える1例でした。
