呼吸性不整脈とは、健康なわんちゃんにもみられる生理的な不整脈のひとつです。
心電図がなくても、聴診や触診によって、心拍がわずかに不規則であることに気づくことがあります。
よく観察すると、呼吸に合わせて心拍が速くなったり遅くなったりを繰り返しているのが分かります。
この現象は、呼吸にともなって自律神経(交感神経・副交感神経)の緊張バランスが変化することで起こります。
わんちゃんにとっては自然なものであり、心拍数がゆっくりな子ほどその変動が目立ち、速い子ではあまり感じられません。
一方で、普段はリズムの変化があったのに、最近は常に速くて規則的になったと感じる場合、交感神経の緊張が続いている可能性があり、病気が隠れていることもあります。
ときどき、医療関係の飼い主さまが「心房細動では?」とご心配されるケースもあります。
確かに両者は「不規則な心拍」という点では似ていますが、次のような違いがあります:
- 呼吸性不整脈:一見不規則でも周期性があり、呼吸と連動して「速い/遅い」が切り替わる
- 心房細動:全く周期性のない完全な不整(絶対的不整)で、心拍が非常に速くなることが多い
※正確な判断には心電図検査が必要です。
猫ちゃんで不整脈を感じたら…
猫ちゃんの場合、交感神経の働きが常に優位なため、呼吸に連動した心拍変動はほとんど現れません。
そのため、猫ちゃんで心拍が不規則に感じられるときには、心臓・神経・内分泌などの異常が隠れている可能性があるため、注意が必要です。
ご家庭での観察が大切です
私たち獣医師が診察中に確認できるのは、緊張している来院時の心拍だけです。
不整脈は、自宅での安静時に現れることもあるため、ご家庭での心拍の記録や観察がとても重要です。
もちろん、ホルター心電図のような24時間心電図もありますが、装着や費用の面から気軽に行える検査ではありません。
そこでおすすめしたいのが、日常生活の中で心拍数やリズムを記録しておく習慣です。
胸に手を当ててリズムを感じたり、心拍数を定期的に測ることで、異常の早期発見につながることもあります。
詳しくは、「ご家庭で心拍数を記録しましょう」の記事でご紹介しています。ぜひご一読ください。

